四半期アウトルック

クレジット・アウトルック:陶酔状態のクレジット市場

英国のロックバンドPink Floydが「心地よい陶酔状態(Comfortably Numb)」という楽曲で表現したように、無関心は束の間の安心感をもたらすこともありますが、いずれ現実に直面した際に、無防備な状態に陥るおそれがあります。現在のクレジット市場も、これと同じパラドックスを体現しているように思われます。


執筆者

    CIO High Yield, Portfolio Manager
    Matthew Jackson
    Portfolio Manager

まとめ

  1. スプレッドは極めてタイトだが、投資家は楽観姿勢を崩さず
  2. 強力なテクニカル要因が市場を継続的に下支え
  3. クオリティの高い投資適格債と厳選されたハイイールド債を重視

2025年7~9月期は、4~6月期に劣らず注目に値する展開となりました。リスクは身近に存在するという警告が繰り返される中で、スプレッドはさらに縮小しました。また、トランプ政権の関税政策に関連する ニュースが相次いだものの、市場は動じていないように見受けられます。

かつて考えられなかったトランプ大統領の米連邦準備制度理事会(FRB)への強硬な介入すら、市場のセンチメントを揺るがすには至りませんでした。また、労働市場関連のデータが下方修正される一方で、先行指標においてインフレ圧力の再燃が示唆されるなど、スタグフレーション・シナリオの確率が上昇している状況でも、リスクを選好する姿勢は後退していません。(実現しなかった)景気後退懸念を背景にスプレッドが拡大するという“誤報” に終わった事例が幾度となく繰り返された結果、投資家は再びヘッジ取引に動く意欲を失っているのが現状です。

その結果、Pink Floydの言葉を借りれば、クレジット市場は「心地よい陶酔状態」に陥るようになりました。投資家はロング・ポジションに安住し、リスクへの意識が薄れ、周囲の警戒シグナルにも無関心なままのように見受けられます。市場全体に、慎重さを欠くムードが広がっている印象があります。



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