四半期アウトルック

債券アウトルック:あらゆる好条件が満たされる必要

金融市場は2026年に向けて、FRBの利下げからAIブームの持続まで、あらゆる好条件を求めているようです。しかし、成長加速への期待が薄く、スプレッドが縮小している状況では、失敗が許される余地は依然として小さいと言えます。


執筆者

    Head of Global Macro and Portfolio Manager
    Strategist
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まとめ

  1. 現在の価格水準が持続するには、あらゆる好条件が満たされる必要
  2. 世界経済は下支えされる見通しだが、米国経済の力強い加速は期待薄
  3. スプレッド・リスクを削減しつつ、イールドカーブのスティープニング・バイアスを維持

英国のロックバンドQueenの“I want it all”という楽曲の言葉を借りれば、株式やクレジットの現在のバリュエーションを来年も継続するために、市場はあらゆる好条件を求め、それらが実現すると見込んでいるように見えます。米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利下げ、AIブームの持続、ドイツの大規模な財政支出、中国経済の回復、新興国市場のアウトパフォーマンスの継続といった条件です。

贈り物の季節を前に、市場がそのように期待するのも無理はありません。しかし、11月の市場動向は、リスク・センチメントがいかに急変し得るかを、改めて示しました。ビットコインは売られ、ナスダック株価指数は8%下落し、エヌビディアの株価でさえ売り圧力にさらされました。その結果、バブル発生の可能性をめぐる議論が一段と活発になりました。

ダウンサイド・リスクが再燃した場合、スプレッドが急拡大してキャリー収入が相殺される可能性があります。

資産価格は、FRBの政策見通しに大きく左右される状況が続いています。FOMCの終了後、市場価格から12月の利下げ観測が剥落し、株価は下落に転じました。しかし、その後NY連銀のウィリアムズ総裁が利下げの可能性に言及したことをうけ、市場は急回復し、ナスダック100指数は月末にかけて6%近く上昇しました。一方、クレジット市場では、プライベート・クレジットの領域における歪みが顕在化する中でも、スプレッドは狭いレンジでの動きにとどまりました。

現時点では、リスクに対する過敏な反応も落ち着いたようであり、投資家は引き続き、スプレッドの方向性よりもキャリー収入の確保に重点を置いています。しかしながら、ダウンサイド・リスクが再燃した場合、スプレッドが急拡大してキャリー収入が相殺される可能性がある点には、注意が必要です。足元の動向は、前回の四半期アウトルック「勇猛果敢なリスク市場」において述べた、“失敗が許される余地は依然として小さい”という主張を裏付けるものです。


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