

まとめ
- 米連邦準備制度理事会(FRB):二重の問題に直面
- 欧州中央銀行(ECB):バランスの取れた状態
- 日本銀行:影響を見極める段階
今月、FRB、ECB、日銀はいずれも政策金利を据え置くと予想されています。また、最近措置を講じた中国人民銀行も、当面は政策変更を見送る姿勢を示しています。しかしながら、小休止状態は持続しないとロベコは予想しています。
FRB は近い将来に、二重の問題に直面すると予想しています。政権から政治的圧力を受けていることに加えて、関税引き上げに起因するインフレ圧力の高まりと労働市場の環境悪化を背景に、「デュアル・マンデート(2 つの使命)」の両立が困難になる見通しです。また、労働市場の環境悪化は、早ければ9 月にも利下げ決定の要因になりうると見ています。ただし、リスク要因として、トランプ政権がFRB に対する政治的圧力を弱めず、また、インフレのリスク・プレミアムがさらに上昇した場合には特に、利下げが先送りされるシナリオも想定されます。米国債市場では、長期ゾーンのタームプレミアムが過度に低い状況を考慮して、引き続きイールドカーブのスティープナーを選好しています。
一方、ユーロ圏では、金融政策はバランスの取れた状態にあるものの、インフレが政策目標に達する見通し、進行中の対米貿易摩擦、急激なユーロ高を考慮すると、ECB は今年後半にも追加緩和に踏み切る可能性が高いと考えられます。とはいえ、ロベコでは、中立金利のレンジ下限が視野に入ったことを踏まえ、ドイツ2 年国債利回り(現在:1.85%)が大幅に低下する余地は小さいと見て、最後の安全資産と目されるドイツ10 年国債に対する強気な姿勢を、利回りが2.75%近辺に達した段階で強めることを検討しています。
中国に目を向けると、低インフレと景気の停滞感は、中国人民銀行の緩和サイクルが終了していない可能性を示唆しています。もっとも、信用の伸びが改善し、通貨安が進行する環境において、早急な金融緩和が必要なわけではありません。
これに対して日銀は、政策金利の正常化プロセスを一時的に中断しているものの、ロベコは中心シナリオとして、年末までの25bp の追加利上げと2026 年下期の再度の利上げを、引き続き想定しています。この見通しは、確率加重平均ベースでは市場のコンセンサスよりわずかにタカ派的であり、日本国債のデュレーションを小幅にアンダーウェイトとしています。
図 1 – 中央銀行の政策金利の見通し

出所:ブルームバーグ、ロベコ。2025年7月17日時点の金融市場先物・先渡取引に基づく。
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