
投資家は一般に、リスク・テイクの代償(できれば過大な代償)を求めます。合理的な理由でバリュエーションに魅力が生じる社債もありますが、投資家の懸念や行動バイアスに起因して価格が割安になるバリュー銘柄も珍しくありません。社債のバリュー銘柄には、相対的にボラティリティが若干高い一方でリターンも高い、という傾向が見受けられます。それでは、運用成績を向上させるため、どうすればリスクを効果的に管理できるでしょうか。
ロベコでは、ポートフォリオの分散を十分に図ることで信用悪化イベントの影響を最小限に抑えつつ、アクティブ運用の恩恵を享受するために必要な集中度を確保することを目指しています。この目的を達成するために、グローバル・クレジット市場のさまざまなセグメントにおいて、バイアスや分断化の影響で割安に放置された銘柄を探求します。なかでも、バリュエーションに魅力のある短期年限の債券には、他の社債と比較してバリュー投資の機会が存在することが多く、こうしたバリュエーション・プレミアムは歴史的に平均回帰する傾向があります。
ロベコでは、リスクを効果的に管理しコントロールするために、3つの主要原則を適用します。
ポートフォリオの分散:投資先発行体を分散させることによって、集中リスクの緩和を図ります。例えば、発行体企業が深刻な財務上の問題に直面した場合、債券保有者は全額の償還を受けることができないかもしれません。分散度の高いポートフォリオを構築することによって、信用リスクが運用成績に与える影響を抑えることが可能であり、ロベコが運用するポートフォリオは、通常100以上の発行体を組み入れています。
発行体のポジション制限:格付けに基づく絶対的・相対的な集中度制限などの厳格なポジション制限の設定は、運用戦略や個別運用口座の規模が大きくなったときに投資家の保護につながります。大量の社債を売却する場合、同じ金額であっても、AA格の社債の方がより格付けが低い社債と比べて、売却は容易です。相対的にクオリティが低いクレジットに投資する場合、デフォルト確率が加速度的に高まるため、流動性が特に重要になります。
デュレーション・タイムズ・スプレッド(DTS)1: 関連する信用リスクを理解し、(デフォルト・リスクが高いせいで割安に放置された銘柄を買うという)バリュー・トラップを避けるためには、クレジットに対するボトムアップのファンダメンタルズ分析が重要になります。クレジット・スプレッドの 変動が運用成績にどのような影響を与えるのか、ボラティリティを抑制するためにはどのようにクレジット・ポートフォリオを構築すればよいのかを、投資家は理解する必要があります。
報われるリスク
投資に際しては、正当な見返りが期待される(報われる)リスク要因と期待できない(報われない)リスク要因を区別することが重要になります。ロベコの見解では、報われるリスクは、厳密なリサーチを基盤とした逆張り的なアプローチを採用することによって得られるものです。発行体のFスコア2が、景気後退入りの懸念、業績サイクルの悪化、格付けアクションの遅行性などの理由で市場に見過ごされたファンダメンタルズの改善を示していると判断した場合には、これを報われるリスクと認識します。
また、支払優先順位に関するリスクも、報われるリスクとなる可能性があります。健全なファンダメンタルズを有する安定的な企業は、シニア債、劣後債、第一順位抵当権付債、第二順位抵当権付債、PIK(繰延利息)債など、さまざまな種類の負債を調達することが可能です。シニア債と劣後債のデフォルト確率は同じであり、デフォルト確率が極めて低い発行体であれば、劣後債への投資が利益をもたらす可能性があります。スプレッドの拡大に伴って魅力的な投資機会が提供されるときには、特に有力な選択肢になります。
報われないリスク
これに対して、特定の市場セグメント(不動産、小売り、娯楽など)において発生しやすい特異性リスクなど、報われないリスクもいくつか存在します。歴史的に見ると、これらのセグメントにデフォルトが集中する傾向がありますが、適切な注意を払えば依然として有効な投資対象となり得ます。
また、支払優先順位が過度に低いセグメントに偏向することも、報われないリスクとなる可能性があります。過大な負債を抱える企業は、利払いや債務の返済に際して困難に直面するおそれがあります。また、ガバナンスの脆弱性も不利益をもたらし、クレジット投資家にとって重大なダウンサイド・リスクとなる可能性があります。 さらに、サステナビリティ・リスクもマイナス要因であり、例えば汚染をもたらす企業は、低炭素経済への移行が加速する過程で、規制圧力に直面することになります。
ロベコはリスク管理において、投資の見返りが期待される市場リスクと信用リスクに重点を置きます。ポートフォリオに内在する信用リスクを計測・モニタリングするために、独自のリスク管理システムを使用します。これによって、ポートフォリオ・マネジャーやリスク管理部門は、市場、セクター、個別企業に関するリスクを監視することができます。それぞれの要因について、個々の投資の比重、スプレッド、デュレーションに応じてリスク・エクスポージャーが計測され、リスク・ポイントの量に換算されます。ポートフォリオ・マネジャーが保有銘柄にリスクを配分する際に、確信度をリスク・ポイント数の形で表します。
脚注
1 詳細は デュレーション・タイムズ・スプレッド:クレジット・リスクの計測(英文)をご参照ください。
2「ピオトロスキーFスコア」はジョセフ・ピオトロスキー(Joseph Piotroski)によって開発された財務指標のツールであり、収益性、財務レバレッジ、流動性、事業の効率性を網羅する9つの基準に基づいて企業の財務力を評価するものです。スコアは0から9の範囲で付与され、数字が大きいほど財務の健全性が高いことを示します。
Past performance is no guarantee of future results. The value of the investments may fluctuate.
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